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「節税目的の株価対策」はもう通じない?国税庁が持つ切り札を知っておこう


自社株の節税対策を検討するオーナーが知っておくべき重要な仕組みがあります。それが「総則6項」です。

ルール通りに評価しても国税庁が評価し直せるこの仕組みと、合法的な対策との境界線を最終回として解説します。

「総則6項」って何?

財産評価基本通達(非上場株式の評価ルール)の冒頭には、こんな規定があります。

「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」

(財産評価基本通達 第1項(6))

要するに——

「ルール通りに計算した結果があまりにも実態とかけ離れている場合は、税務署がそのルールを使わずに独自に評価しなおすことができる」というものです。これが通達の第6項にあるため「総則6項」と呼ばれています。

なぜ今、これが問題になっているの?

近年、自社株の節税スキームが広がっていました。例えば——

  • 相続直前に借入金で不動産を購入して、純資産評価額を意図的に下げる
  • 増資・組織再編などで株価を人為的に操作する
  • 評価方式の有利不利を利用して意図的に低い方式で評価させる

こうした対策の一部は、過去の裁判でも「租税回避」と認定され、総則6項を適用されたケースがあります。

実際に最高裁まで争った事例も

2022年4月、最高裁判所が「総則6項の適用は適法」と判断した重要な判決があります(最高裁判所 令和4年4月19日判決)。

この事件では、相続直前に多額の借入をして不動産を購入し、相続税評価を大幅に下げた方法が問題となりました。最高裁は「形式的に通達の計算式に当てはまっても、著しく不公平な結果になる場合は通達によらない評価ができる」と判断しました。

今回の改正と「総則6項」の関係

今回の有識者会議で株式評価の抜本見直しが始まった背景の一つが、この「節税スキームへの対応」です。

ルールを改正することでスキマを利用した過度な節税対策を封じる——というのが国税庁の方針の一つでもあります。

つまり、改正前に過激な節税対策をしようとすると、総則6項が適用されるリスクが高まるということです。

どんな対策がリスクの高い「グレーゾーン」になりやすいか

明確な線引きは難しいですが、以下のような対策はリスクが高いとされています。

リスクが高い対策の特徴 理由
相続・贈与の直前だけ行う対策 税負担軽減のみが目的と見なされやすい
事業上の合理的理由がない取引 節税目的と認定されやすい
評価額が著しく低くなる 「実態とかけ離れている」と判断されるリスク
複数の対策を組み合わせて効果を最大化 総合的に否認されるリスク

まとめ:5回シリーズを振り返って

全5回を通じてお伝えしたポイントをまとめます。

  1. 非上場株式の評価ルールが約60年ぶりに見直される見通し(2028年頃から)
  2. 現行ルールには「大きい会社ほど評価が低い」という歪みがある
  3. 改正の3大論点:配当要素・還元率・規模格差
  4. 改正前に動くべきかは、会社の規模と状況次第
  5. 節税スキームには「総則6項」というリスクがある

自社株の対策は「節税」だけを目的にすると、税務リスクや事業リスクを抱えることになります。大切なのは——

  • 自社の現状(評価額・株主構成)を正確に把握する
  • 事業承継・相続のゴールを明確にする
  • 税務・法務・事業の3つのバランスで対策を考える

「合法的な対策」と「グレーゾーン」の境界線は事案によって異なります。「自社株がいくらか知らない」「何から手をつければいいかわからない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。


参考文献・一次情報源

※ 本記事は2026年5月時点の情報をもとにしています。総則6項の適用可否は個別の事案によって異なります。具体的な対策については必ず税理士にご相談ください。


シリーズバックナンバー

  • 第1弾:非上場株式の評価が変わる!2028年改正の背景とスケジュール
  • 第2弾:自社株はどうやって評価される?知っておきたい計算のしくみ
  • 第3弾:自社株評価の改正で何が変わる?3大論点をわかりやすく解説
  • 第4弾:株式評価の改正前に動くべき?事業承継への影響と判断基準
  • 第5弾:節税目的の株価対策に注意!総則6項という国税庁の切り札 ← 今回