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不動産が多い相続ほど揉める理由と、 税理士が最初に見る3つのポイント


不動産が多い相続ほど揉める理由と、税理士が最初に見る3つのポイント

揉めない相続ほど、実は準備されている

相続の現場を長く見ていると、はっきり分かることがあります。

「揉めなかった相続」は、偶然うまくいったわけではないということです。

一方で、

・家族仲は悪くなかった

・兄弟姉妹も常識的

・財産内容も把握していたつもり

それでも、相続をきっかけに関係がこじれたケースは少なくありません。

この違いを分けるのは、

性格でも、相性でもありません。

生前に、

・何をどう分けるか

・分けられないものをどう扱うか

・誰が最終判断するのか

こうした整理がされていたかどうか。

それだけです。

「うちは大丈夫だろうか?」

そう感じた時点で、この記事は関係があります。


不動産が多い相続が揉めやすい理由

不動産が多い相続は、構造的に揉めやすいです。

理由はとてもシンプルです。

不動産は分けにくい

現金と違い、1円単位で分けられません。

評価が分かりにくい

「思ったより安い」「そんなはずはない」

評価額を巡る不満が出やすい。

現金を生まない

持っているだけでは、納税も代償分割もできません。

売る・貸す・使うで意見が割れる

ここに感情が絡みます。

医師家庭でよくある具体例

  • 医院建物と土地

    後継医師は「使い続けたい」

    他の相続人は「売れるなら売りたい」

  • 自宅兼医院

    生活と事業が一体化しており、切り分けが難しい

  • テナント・駐車場

    収益は出ているが、管理負担は特定の人に集中

  • MS法人・個人所有の不動産

    名義と実態がズレているケースも多い

これらが重なると、「正しい・間違い」ではなく、「納得できる・できない」の問題になります。


税理士が最初に見る3つのポイント

ここからが本題です。

相続税額の前に、私たち税理士が必ず確認するポイントがあります。


ポイント①

誰が・何を・どれだけ相続する前提なのか

まず見るのは、分け方の前提です。

  • 法定相続分どおりに分けるのか
  • 実際の生活・事業を踏まえて調整するのか

特に医師家庭では、

医師免許の有無による温度差が生まれやすい。

  • 後継医師:「医院を守るのが当然」
  • 非医師の相続人:「財産は公平に分けるべき」

「長男だから」

「面倒を見てきたから」

気持ちは理解できますが、

それだけでは分割は成立しません。


ポイント②

不動産の“使われ方”と“稼ぎ方”

次に見るのは、実態です。

  • 誰が管理しているのか
  • 収益は誰の口座に入っているのか
  • 修繕費や固定資産税は誰が負担しているのか

ここでよくあるのが、

名義と実態がズレている不動産です。

このズレは、

  • 税務上のリスク
  • 相続人同士の不満

両方を同時に生みます。

「自分が管理してきた」

「収益をもらっていない」

こうした感情は、相続後に一気に噴き出します。


ポイント③

相続税よりも、分割が成立するか

最後に見るのが、ここです。

  • 納税資金は足りるのか
  • 代償分割は現実的か
  • 売却せざるを得ない不動産はあるか

はっきり言います。

税金は払えても、分けられない相続が一番揉めます。

相続税の金額だけを見て

「何とかなりそう」と判断するのは危険です。


「うちは大丈夫」が一番危ない理由

問題は、相続が始まってから一気に表面化します。

生前は、

  • 本音を言わない
  • 角が立つ話を避ける
  • 何となく先送り

医師家庭では特に、遠慮・我慢・思い込みが重なりがちです。

診察室では冷静でも、相続の場面では感情が前に出る。

これは珍しい話ではありません。


まとめ|次に取るべき行動

不動産が多い相続ほど、早めの棚卸しが欠かせません。

  • 相続税対策だけでは解決しない
  • 分割と感情を無視すると、必ず歪みが出る
  • 揉める前に専門家を入れる方が、結果的に一番コストが低い

「まだ元気だから」

「そのうち考えればいい」

そう思っている今が、

一番修正が効くタイミングです。

次に考えるべきは、「いつから、何を整理すべきか」

その点については、前回の記事で詳しく触れています。

気になる方は、あわせて確認してみてください。