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医療法人成りと消費税~自分の法人に資産を移しただけで課税される理由~


【第2回】

医療法人成りと消費税|自分の法人に資産を移しただけで課税される理由

医療法人成りは、節税や手続きの話として語られることが多いですが、実務で問題になるのは、もっと地味な部分です。

それは、資産と借入をどう扱い、その後のお金の流れをどう設計するか。

ここを誤ると、「法人化したのに、なぜか苦しくなった」という状態になります。

この連載では、実際に現場で起きた法人成りの失敗事例をもとに、何を見落とすと、どこでズレるのかを整理していきます。


※本記事は、医療法人成りをテーマにした全3回の連載です。

第1回:医療法人成りの失敗例 ― 借入を法人に移しすぎて、理事長が借金スタートになった話

第2回:医療法人成りと消費税 ― 自分の法人に資産を移しただけで課税される理由

第3回:医療法人成り後にお金が残らない理由 ― 資産の扱いと資金設計の失敗


冒頭リード

「自分が作った法人に、建物や医療機器を移すだけですよね?それで消費税がかかるんですか?」

法人成りの相談で、非常によく聞く反応です。

そして、この驚きが出ている時点で、確認が一歩遅れている可能性があります。


消費税は「法人成りの年」では決まらない

消費税がかかるかどうかは、法人成りをする年の売上では決まりません。

ポイントは、

  • 法人成りの年の前々期(2年前)です。

クリニックで必ず確認すべきこと

次の点を確認する必要があります。

前々期(2年前)に自由診療などの課税売上1,000万円を超えているか。

これを超えていれば、クリニックは課税事業者となります。


課税事業者で資産を移すとどうなるか

この状態で、

建物

医療機器

などの資産を法人へ移すと、その資産移転自体に消費税が課税されます。

「法人成りしたから」ではなく、「課税事業者の状態で資産を移したから」です。


実務で実際に起きていること

消費税額を具体的に試算して説明すると、「それなら今回は資産は移さない」という判断になるケースは少なくありません。

その場合は、建物や設備は個人のまま法人が個人から賃借という形を取ります。

これは逃げではなく、消費税と資金繰りを踏まえた合理的な判断です。


まとめ

消費税は、知らなかったでは済まされません。

ただ、移す前に知っていれば、選択肢は残ります。

法人成りを考える際は、「今の売上」ではなく、2年前の中身を必ず確認してください。

特に、資産や借入の扱い、消費税、 法人と個人のお金の流れは、 事前の整理で結果が大きく変わります。

「今の考え方で進めて問題ないか」 そう感じた段階でのご相談であれば、 修正できる選択肢はまだ残っています。

医業経営を前提にした法人成りの設計について、 個別の状況を踏まえて整理したい場合は、 お気軽にご相談ください。


※本記事は、医療法人成り連載の第2回です。

▶ 第1回:借入を法人に移しすぎた失敗例

▶ 第3回:法人成り後にお金が残らない理由

消費税の判断は、 資産や資金設計と切り離せません。