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2026.01.19
医療法人成りの失敗例~借入を法人に移しすぎて理事長が借金スタートになった話~
【第1回】
医療法人成りの失敗例|借入を法人に移しすぎて理事長が借金スタートになった話
医療法人成りは、節税や手続きの話として語られることが多いですが、実務で問題になるのは、もっと地味な部分です。
それは、
資産と借入をどう扱い、その後のお金の流れをどう設計するか。
ここを誤ると、
「法人化したのに、なぜか苦しくなった」
という状態になります。
この連載では、実際に現場で起きた法人成りの失敗事例をもとに、何を見落とすと、どこでズレるのかを整理していきます。
※本記事は、医療法人成りをテーマにした全3回の連載です。
第1回:医療法人成りの失敗例 ― 借入を法人に移しすぎて、理事長が借金スタートになった話
第2回:医療法人成りと消費税 ― 自分の法人に資産を移しただけで課税される理由
第3回:医療法人成り後にお金が残らない理由 ― 資産の扱いと資金設計の失敗
冒頭リード
今回ご紹介するのは、法人成りそのものが失敗だったわけではありません。
問題は、どの借入を法人に移し、どこから先を個人に残すか。
その判断を誤った結果、法人成りのスタート時点で、理事長が多額の借金を背負う形になってしまったケースです。
特別な話ではありません。
実務では、同じ構造の相談を何度も目にします。
何が起きたのか
このケースでは、運転資金の借入だけでなく、本来そこまで法人へ移す必要のなかった借入や負債まで、まとめて法人へ移されていました。
その結果、法人は設立時点で大幅な債務超過。
この差額を埋めるため、理事長個人への多額の貸付金が発生し、理事長は「借金スタート」での法人成りとなりました。
なぜ止められなかったのか
理事長の認識は、「負債は全部法人に任せた方が、個人は楽になる」というものでした。
しかし実際には、
- 法人成り後の資金の流れのシミュレーションがされていなかった
- 借入返済の原資がどこから出るのか、説明されていなかった
結果として、理事長自身も状況を十分に理解しないまま進んでしまった、という構図でした。
取り返しがつかないと感じた理由
私が関与した時点で、個人側には、借入返済を安定的にまかなえるだけのキャッシュを生み出す余力がありませんでした。
時間が経てば経つほど、理事長個人だけが苦しくなる構造です。
この状態まで来ると、 修正は非常に難しくなります。
まとめ
医療法人成りは、
「借入を法人に移す作業」ではありません。
- 誰が
- 何を原資に
- 何年かけて返済するのか
ここまで含めて設計する必要があります。
節税より先に、お金の流れが本当に回るかを確認すること。
それが、法人成りで失敗しないための第一歩です。
医療法人成りは、手続きを進めてしまってから 「やっぱり設計を間違えていた」と気づいても、 元に戻すのは簡単ではありません。特に、資産や借入の扱い、消費税、 法人と個人のお金の流れは、 事前の整理で結果が大きく変わります。
「今の考え方で進めて問題ないか」 そう感じた段階でのご相談であれば、 修正できる選択肢はまだ残っています。
医業経営を前提にした法人成りの設計について、 個別の状況を踏まえて整理したい場合は、 お気軽にご相談ください。
※本記事は、医療法人成りをテーマにした連載の第1回です。
次回は、
「医療法人成りと消費税|自分の法人に資産を移しただけで課税される理由」
について解説します。